デスクで仕事をし、車で移動し、家でソファに沈む。振り返ると、今日ほとんど立っていない日がある。実はこれ、日本人の平均的な一日らしい。シドニー大学などの研究チームが世界20カ国の成人の座位時間を比較した調査で、日本は平日1日420分——7時間——と、参加国の中で最も長い部類だったことが報告されている。スポーツ庁もこの数字を引いて「座りすぎ」への注意を呼びかけ続けている。私たちは世界有数の、座る国民だった。

週2回のジムでは、7時間の着席は帳消しにならない

やっかいなのは、座りすぎが「運動不足」とは別の問題として扱われ始めていることだ。長く座り続けると脚の大きな筋肉が働かず、体の代謝の働きが落ちた状態が続く。そして研究の世界では、運動習慣がある人でも、座っている時間が長いこと自体が健康リスクと関連するという報告が積み重なってきた。厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」が、従来の運動推奨に加えて「座位行動」という項目を立て、座りっぱなしの時間を減らして立ち上がる休憩を挟むよう促しているのは、この流れを受けている。

ジムに通う人ほど、ここは見落としやすい。朝トレーニングをした満足感が、日中の9時間の着席を心理的に免罪してしまう。だが帳簿は別々だ。運動の欄に貯金があっても、座位の欄の借り越しは消えない。

「立つ」は運動ではないから、こそ強い

対策は拍子抜けするほど地味で、こまめに立つこと、それだけだ。30分か1時間に一度立ち上がり、飲み物を取りに行く、立って電話をする、資料を立って読む。どれも運動と呼べない動きだが、座位の連続を断ち切るという一点で仕事をしている。私はこの「運動ではない」ところにこそ希望があると考えている。運動には着替えも気合いも要るが、立つのはゼロ円で、汗もかかず、会議中ですらできる。ハードルが地面に埋まっているのだから、続かない理由の方がない。

しかも立てば、ついでに歩く。8,000歩の記事で書いた「生活の中の歩数」は、立ち上がる回数の副産物として貯まっていく。座りすぎ対策と歩数は、同じ習慣の表と裏だ。

明日のデスクワークに埋め込む3つ

  1. 1時間に1回、用事を作って立つ。 飲み物、ゴミ捨て、トイレ。用事は口実でいい。立った回数がその日の成績だ
  2. 電話とオンライン会議の音声だけの回は、立って受ける。 立ち会議は集中の面でも案外悪くない
  3. 「座りっぱなしだった日」は夜に軽く動く。 積極的休養の記事で書いた動く休みは、座った日の夜にこそ出番がある

立ち仕事への急な切り替えは腰や脚に負担が出ることもある。痛みが出たら量を戻し、続くなら医療機関へ。

出典