筋トレと有酸素を同じ日にやるなら、筋トレを先に置いたほうが下半身の記録は伸びやすい——複数のメタ解析が、そろってその向きの結果を報告している。ジムに着いて、まずトレッドミルで20分温めてからバーベルへ向かう。あの手順には、失っているものがあるかもしれない。

下半身の1RMで、3.96kgの差がついた

筋力トレーニングと持久系トレーニングを組み合わせて行うことは、スポーツ科学の世界で「コンカレント・トレーニング」と呼ばれてきた。そして両立を試みると筋力の伸びが単独実施より鈍る場合があることが、干渉作用(interference effect)として長く議論されてきた。順番の話は、この干渉作用をどこまで避けられるかという文脈から出てきている。

英国の研究者エディンズらは2018年、同一セッション内の実施順序を扱った過去の研究をまとめた解析を発表し、筋力→持久の順で行った場合に、下半身の動的筋力に有利な結果が得られたと報告した。統合値は6.91%の変化差にあたる。同じ2018年にムルラシッツらが発表したメタ解析でも、筋力を先に置いた場合の下半身1RMが統合平均で3.96kg高く、一方で有酸素能力の向上は順番の影響を受けなかったとされている。

まとめると、こういう構図になる。順番を入れ替えて損をするのは筋力側で、持久力側はどちらでも変わらない。だとすれば、迷ったときは筋力を先に置くのが取りこぼしの少ない選択になる。片方だけがリスクを負っているのだから、賭ける側を間違えないほうがいい。

準備運動と、有酸素運動を混同していないか

なぜ多くの人が逆の順番でジムに入るのかというと、たぶん「準備運動」と「有酸素運動」が頭の中で同じ引き出しに入っているからだ。5分の軽い自転車は準備運動で、20分のランは有酸素運動である。前者は体を温める作業、後者はそれ自体が消耗をともなうトレーニングで、性質がまるで違う。にもかかわらず同じ「ウォームアップ」の顔をしてメニューの先頭に居座っている。

もうひとつ、順番が軽く扱われがちな理由がある。時間だ。仕事帰りの90分で全部やろうとすると、空いているマシンから埋めていく順番になる。設備の都合が体の都合を上書きしてしまう。ここは意識して押し返す価値がある部分だと考えている。同じ90分でも、並べ方だけで結果が変わるのなら、それは無料で手に入る改善だからだ。

ゾーン2の記事で書いたように、有酸素は強度を落としてゆっくり長くやる価値がある。そのゆっくり長くを筋トレの前に置くと、肝心のバーベルを担ぐ段でガス欠になる。強度の高い種目を、疲れていない時間帯に配置する。ルールとしてはこれだけだ。

週のメニューを、並べ直してみる

  1. 同じ日にやるなら、筋トレを先に置く。 有酸素は仕上げに回す。順番を変えるだけなので、追加の時間もお金もかからない
  2. ウォームアップは5〜10分の軽い動きにとどめる。 温めるための自転車と、トレーニングとしての有酸素を分けて考える
  3. 本気で両方伸ばしたい時期は、日を分ける。 干渉作用が議論されてきたこと自体が、同居には限度があることを示している

高強度の種目を続けて行うと関節や心臓への負荷が高まる。体調に不安がある人は無理をせず、医師に相談してから強度を上げてほしい。

出典